2007年01月06日
eラーニングに求められていること
[eラーニング ]
文部科学省より平成17年、18年度に認可された大学に対する留意事項(改善すべき点)が公開されました。ここで指摘された内容から、eラーニングに関連しそうなものを抜き出してみました。新規大学という限定された対象ですが、eラーニングに求められていることが見えてくると思います。
サイバー大学
計画されている教育内容や教育方法によって設置の趣旨・目的等を十全に達成できるか懸念されるので,設置の趣旨・目的等を達成するために格段の努力をし,開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うこと。特に,インターネットのみを用いて授業を行う大学であるという特性に鑑み,大学教育の質を担保するためのガイドラインを確実に作成し提出すること。また,インストラクショナルデザイナー,指導補助者(助手やメンター)の適切な人材の確保,教員や指導補助者による効果的な指導体制の確立,コンテンツの作成,更新等に関するガイドラインの策定による計画の確実な実施など,社会に認められる大学教育としての水準を維持すること。・ 学生の本人確認については,以下の点に留意して,より確実に実施すること。
1 入学時,受講時,単位認定,卒業判定のそれぞれにおけるチェック体制や責任者を規程等で明確にすること。また,本人確認のための個人情報の管理方針も規程上明確にすること。
2 入学者に対して,原則として対面式のオリエンテーションを実施することとし,インターネットによる代替のオリエンテーションの対象者については,外国居住者など少数の例外に限定すること。
3 単位認定における本人確認は不十分であり,諸外国のインターネットによる大学の事例も参考にして改善を図ること。・ インターンシップやボランティア活動は,それぞれの目的に合致するよう,その実施期間,対象人数,受け入れ企業・団体など具体的な計画内容を明確に示し,学生に対してその重要性や目的を理解させ履修するよう指導すること。また,成績評価については,派遣先と十分に協議し,本人のレポートによる評価以外の明確な基準を設けること。
・ 演習形式の授業については,教員と複数の学生間で密なコミュニケーションを取れるように,同期型に近くなるように双方向性を高める工夫をすること。
・ 学校部門を明確に区分経理すること。
・ 情報通信産業の最新情報を講義内容に取り入れる授業科目については,そのことをシラバス等で明示し,確実に実施すること。(IT総合学部)
・ 体系性を確保するために理論フェーズと応用フェーズに分けて科目配置しているので,体系的に修得できるように学生に対する履修指導を確実に実施すること。(IT総合学部)
・ 計画されているインターンシップやボランティア活動の授業科目は,文化財の保存・修復などに関する能力を実技・実習を通じて身に付けさせる内容になっておらず,教育目標を達成する効果の実現が期待できないので再考すること。(世界遺産学部)
・ 当該学部は通信教育課程であり,当該学部のカリキュラムは「職業人の育成方針としては,技術を習得させるというよりも,知識の習得を目的」としていることを,募集要項やパンフレット等で明示し,社会及び入学志願者に誤解を与えないようにすること。(世界遺産学部)
・ 自然遺産やエコツーリズムの講義及び演習において,生物学,生態学など自然科学的な知識や理論を体系的に修得できるように改善すること。(世界遺産学部)
・ 設置計画及び全ての留意事項が適切に履行されているかどうかの状況については,eラーニングによる大学教育の水準の維持という観点から,開設後継続的に調査・評価することとする。
ビジネスブレークスルー大学院大学
本件については,e-Learning(ITを活用した実践的遠隔教育)の形態としての独自性・新規性に評価すべき点がある一方で,会社経営者個人の資質や人的ネットワークに多くを依存するため,教育活動の継続性・安定性に懸念があること,MBAを授与する専門職大学院としての教育内容・方法,教員組織,施設・設備等に関して種々改善すべき点があることから,以下の点に留意して適切に対応すること。(教育課程)
1 育成する人材像に対応した体系的な教育課程の編成について,MBAカリキュラムとして十分な教育水準を達成し,またそれを維持するため,分野間の単位数のバランス及び教員間の担当科目数のバランスにも留意しつつ,専門職大学院設置基準第6条の趣旨を踏まえ,引き続きその充実を図ること。(通信教育の方法)
2 専門職大学院設置基準第8条及び第9条の趣旨を踏まえ,多様なメディアを高度に利用する授業方法の教育効果が確保されるよう,より一層の工夫を講じること。特に,起業家養成等の設置の趣旨を実現するためには,更なる双方向性の確保が必要と考えられるので,以下の点に留意しつつ,学生が相互学習(インタラクティブラーニング)を通じて知識・理解力・思考力を高めることができるようにすること。
1 ネット上のディスカッション等の実施に当たっては,積極的な発言・学習等の一定の取り組みを学生に課し,相互に緊張感を持って切磋琢磨する環境を整えること。また,ディスカッション等による学習の成果を適切に評価する方法を工夫すること。
2 対面授業(スクーリング)やグループワーク,ワークショップ等の場や機会を十分に確保することとともに,シラバス(授業科目に関する詳細な計画)内における位置付けを明確化し,その内容を更に充実させること。(教員組織等)
3 専任教員のほとんどが,自社・他社の役員等の実務家教員であることを踏まえ,以下の点に留意して教員の組織体制の整備・充実を図ること。
1 教員の補充を必要とされた授業科目については,科目開設時までに教員を充足し,当該授業科目の円滑な実施に支障がないよう留意するとともに,理論と実践を架橋する専門職大学院制度の趣旨を踏まえ,基礎(理論)的な授業内容を十分に教授することのできる研究者教員を適当な人数配置すること。
2 専任教員については,報酬が少ない上,実務家としての本務に多くの時間を割かれることが予想されるが,専門職大学院の教員として,教育・研究にかかわる役割及び責任が十分に果たされるよう,少なくとも計画にある内容を確実に履行すること。また,TA(ティーチング・アシスタント。教員の補助者)を含め,ファカルティディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)を十分に実施すること。さらに,教授会等による教員組織の自律的な運営の下で継続的・安定的な教育研究活動の実施が確保されるようにすること。
3 カリキュラムの編成・実施に関しては,教授会に対する「カリキュラム審議委員会」及び「コンテンツ会議」の役割を明確化するとともに,有機的な連携が図られるよう,十分に体制を整備すること。その際,これらの会議に参加する研究者の意見がカリキュラムの改善やコンテンツの開発・更新に適切に反映されるようにすること。
4 メディア授業の双方向性(ネット上のディスカッションや質疑応答など)や実務家教員からなる指導体制を補完する上で,TAの役割・責任が重要であることに鑑み,優れた教育能力を有する者を選定し,きめ細かな学習支援を行い得るよう,十分な数を確保すること。また,専任教員による指導監督及び両者の連絡・連携体制を確保することでTAの教育能力水準の向上を図ること。もとより,専任教員は,教育指導上の主導性を発揮し,TA任せとなるようなことのないようにすること。(施設・設備)
4 教員研究室等の教育・研究・学習支援施設に関しては,質量ともに満足できる水準にあるとはいえず,十分な教育研究環境を確保する観点から,早期に一層の充実に努めること。
また,図書の整備については,全体の蔵書数(600冊),図書館の施設(収容可能冊数100冊,座席数4)共に寡少であり,より充実を図ること。学生が閲覧可能な電子ジャーナル,ビジネス関係のデータベース等の種類・数も十分ではないので,通信教育の特性に鑑み,その充実を図ること。(学校経営)
5 学校経営については,以下の点に留意すること。
1 学校部門を明確に区分経理すること。
2 学生納付金の学生への還元の観点から,教育研究条件向上のため,人的,物的環境のさらなる充実を図ること。
特に,教員の人件費については,専任教員が教育研究に対し重責を担っていることに鑑み,適正な水準を確保すること。
3 大学の継続性・安定性確保の観点から,学校設置会社の経営基盤のさらなる充実に努めること。(情報提供)
6 教育内容,教員組織を含め,当該大学における教育研究活動等の状況について,広く学生及び社会に対し周知を図るなど,積極的な情報提供に努めること。
本留意事項を含め,設置計画の履行状況については,原則として完成年度まで国の調査が行われる予定であり,その回答なども含めて主体的な情報公開を行うこと。アフターフォロー
次年度に学年進行が完成し、「卒業研究」(事業計画)を実施することなどを踏まえ、教員間の適切な役割分担の下、双方向性の十分な確保を図ること。2 専任教員については、教育研究上の責任体制、管理運営への参画、勤務形態・処遇などの面で、専任教員としての疑義を生じさせないようにすること。
3 成績評価結果の検証を含め、自己点検・評価やファカルティ・ディベロップメント(教育内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の活動など、教員組織の自律的・組織的な取組を一層推進すること。
全体として見えてくるのは、コンテンツの質の確保と双方向性の確保です。また、eラーニングといえどもITの力で省コスト化することを許してくれる雰囲気ではありません。書かれていることは、大学関係者ならば当たり前中の当たり前の内容だと思いますが、こうして基準が示されるのは評価軸として今後も有用だと思います。
また、大学としてこのレベルを求めているのであれば、企業のeラーニングでも同程度のレベルは求められて当然です。つまり、eラーニング会社を選ぶ際も「決め細やかなサービスが売り」というようなものは当たり前であり、その上でどんなバリューを提供してくれるのかを見極める必要があると思います。
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