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人材育成を研究している橋本諭のブログです。eラーニング(e-Learning)や人材育成、インストラクショナルデザインを専門としており、教育工学、学習科学、OJT、ワークプレイスラーニングの研究しています。eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン、企業内人材育成入門を上梓。

2006年10月28日

OJTという名の放置プレイ

[ワークプレイスラーニング ]

OJTという言葉は、社会人であれば1度は聞いたことがあるだろう。OJTとは、On the Job Trainingの頭文字をとった言葉で、仕事をしながらの研修という意味になる。しかし、実態はかなり玉石混交の世界ではないだろうか。

OJTの"ミソ"は、仕事をしながらというの部分"だ。何しろ、普通に仕事をしていることだけでトレーニングだと言えてしまうからだ。

また、
「仕事ってのはなぁ、やらなきゃ覚えねえんだよ」という職人気質の人から、
「出来るかどうかってのは、修羅場をどれだけ越えたかだな」という自分の武勇伝を語る人
「何だかよくわからないけど、見よう見まねでここまで来たよ。」という人まで、なんとなく”そうだよな。机の上じゃわからないんだよな”という感覚を覚えられるという意味で、非常に便利に使われている。

それゆえ、まだまだ準備が出来ていない人たちだったとしても、
「仕事に関することは仕事を通じてしか学べませんから」とか
「あんまり、理屈っぽくなってもいけませんから」などと理屈を並べて、
「あとはOJTで…」という具合に、良い感じでの責任転嫁が出来る仕組みとなっている。「あとは」といいながらOJTの前に何をやったのかを明確にすることもないし、されることもない。また、この準備が出来ていない人たち(新入社員や中途社員など)が何か失敗をしたときにはOJTが上手くいかなかったのだということに出来るという免罪符のような言葉として使う教育担当者 達もいる。

同様に、OJTを受けている人が、なにか失敗をしたときにも、「俺の仕事を見ていながら、あいつはなぜ失敗するんだ。あの新人はバカだな」というように、責任を押し付けることも出来るし、周りにも「あの人とOJTをしているのに、あいつはなかなか伸びないよな」というように、責任をOJTを受ける側に押し付けられるというスキームになっている。

昨今、学校教育での教師がコテンパンに晒されているのとは全く逆の構図が出来上がっているのである。教師たちが聞いたら、きっと泣くだろう。

もちろん、それらはOJTの一側面にしか過ぎない。というよりもOJTをまさに免罪符のような位置づけで使っている。これらをOJTと呼ばれると、何でもよくなってしまう。

「この資料、100部コピーしてまとめといて」といい、ソートの出来ないコピー機を使い、1部ずつホッチキスで止めることも
「(仕事で使う)資料の整理をしておいて」といい、図書室の整理をすることも
「家まで車運転してよ」という接待で泥酔した上司を家に送ることも、それだけでOJTになる。果ては

「とりあえず、今日は、ここで俺の仕事を見ててよ」といいながら、デスクワークをしている上司を眺めつつ、1日机に座らせておくこともOJTになってしまう。これでは、放置プレイもOJTになる。

OJTは、それほど単純なものではない。(続きはまた今度)

投稿者 橋本 諭 : 2006年10月28日 16:32 このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマークへ追加

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