2006年08月02日
eラーニングワールド2006雑感 「eラーニングワールドは、過疎地の夏祭りです」
[eラーニング ]
今年もeラーニングワールド2006に参加した。mixieラーニング、e-Learningコミュニティの集まりも行った。1日に2度おいしいというイベントだったので、個人的には有意義に過ごせたが、例年どうり雑感を書こうと思う。
2005年には、eラーニングワールドはeラーニング業界の同窓会です。と評したeラーニングワールドも、様々なところで指摘があるように今年は大幅にサイズダウンした。流行り廃りもあるのが世の常なのでこれもまた仕方ないことだろう。そんな今年のeラーニングワールドを一言でたとえるならば、過疎地の夏祭りという印象を持った。
確かに、動画系のコンテンツやシステムが多数展示されているが、世の中がYouTubeやGoogle Videoだの騒いでいることと比べると、ちょっと時代錯誤感がある。古いなと感じたわけではない。むしろ、当たり前な進化を遂げているのだと思う。しかし、何か根本のところに違いを感じた。それは、言い古された言葉で述べるなれば、Web2.0の2.0の部分に当たるような何かが決定的にない気がする。つまり、前時代的(googleやamazonAPIの出てくる前)なWebの常識から脱却できていないまま時が過ぎてしまっている気がする。インターネットがこれほど早く変化をしている現在、この遅れは致命傷になりかねない気がした。
これを簡単に言い換えるならば、人がいなくなった村ががんばって芸人を呼んだり、花火をあげたりしてみたが、村としては予算をかけたつもりでも都会のそれと比べるとチープ感が否めず、結局いつもと変わらないものとなってしまったかのように感じた。遅いわけではない、努力していないわけでもない。ただ、いかんせん周りが早すぎるのだ。
また、全体的な傾向として展示者が少なくなっているため、同窓会として機能しにくくなっている部分を感じた。関係者は多く見に来ていたが、長年この業界を引っ張ってきた人たちは軒並み会えなかった気がする。これは、私が1日(半日)しか参加していないことが大きな理由だと思うが、ブース自体がない企業も多かったので、3日いても同じなったと仮定している。
そのため、「あの人ってどうしているんですかね?」という哀愁漂ってしまう会話が始まってしまうのだ。今までであれば、なんとなく情報交換の場になっていたが、それも失われてしまった気がする。
さて、ではeラーニングワールド2006が悪かったのかというと、私はそうは思っていない。上記したような現象はあるが、これはeラーニング自体に原因があるというよりも他の部分(企業にとってもコストパフォーマンスや、イベントとしてのチャネルの問題)にある気がしていて、eラーニング自身は当たり前のツールになりつつあるのかなという気がしたからだ。
そのため、なんとなく美味しそうなものが落ちてるんじゃないかというようなモチベーションから参入していた企業はいなくなっているように感じるし、大手も宣伝する必要性が薄れているように感じた。つまり、現時点を見ると衰退しているように見えるが、ある程度フェーズが変わってきたことを示していると思う。それが、良いほうに動くのか、悪いほうに動くのかはわからないが。
ただ、過渡期になってきているがゆえに、今後どのような動きをするのかが重要になってくると思う。
過疎地に人が来るのか、それともこのまま廃れていくのかは、今後数年(個人的には数ヶ月)以内の動きが重要になると思う。
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コメント
1. 投稿者 kawamuran : 2006年08月03日 00:03[RES]
eラーニングワールド、ぜひ行きたかったのですが、仕事とのバッティング、青山学院大学で開催されたnimeセミナーへの参加などあり、行くことができませんでした。他大学事例紹介、この業界の動向について、ぜひ聞きたかったです。これだけ展開がはやいと、本学のようについていけない大学は、生き残る道がないのではと思います。先日のエントリーにあるとおりの状況(私大の4割定員割れ)なので、多様な学びスタイルをもった大学になりたいものですが。。。
いつもエントリー楽しみにしています。コメントするだけの知識の持ち合わせがありませんが、またまた書かせていただきました。
2. 投稿者 hashimoto@トロッコ蜜柑
: 2006年08月04日 01:07[RES]
>>1 kawamuranさん
ハシモトです。
コメントありがとうございます。現場の声を聞くことができるので大変感謝しております。
大学の場合、立場立場がありますので、ある事例を参考にしようとしてもカスタマイズが大変だということがあると思います。
一方では、一気に進めたいと思っても、色々と勢力があり、そう簡単にはいかないというような苦労を抱えていると想像します。
確かに4割は定員割れがおきていますが、現在勝負の真っ最中なのではないかと思っています。
生意気ですが、変化のときこそ勝負のときだと思います。
ぜひともがんばってください。
私も稚拙ながら何らかの発信をしていきます。
3. 投稿者 kawamuran : 2006年08月06日 12:08[RES]
ハシモトさま
コメントありがとうございます。ご推察のとおりの状況で、勢力、タイミングともに微妙な状態で、一気にすすめるという状況ではありません。また、私という人間の力のなさに加え、職員という立場は微妙で、教育に関わる部分の決定権は教員サイドにあり、この辺をどう乗り越えていけるのか、考えています。今の私にできることは、他大学の状況を学内に伝えることや、e-learningを組織的に検討するよう体制作り(のための仲間づくり)というところぐらいです。そんなことをしているうちに、先進大学との格差はどんどん開いていき。。。考えるとかなり悲壮感が漂いますが、ピンチをチャンスにかえられるように頑張ります。
4. 投稿者 tera : 2006年08月11日 11:57[RES]
はじめまして。大阪にてデジタル学習教材の制作に携わっている者です。
大変、興味深く読ませていただきました。
e-learning界の時代錯誤感は、実際に制作している立場からも感じています。
コンテンツの制作者自体は、Webどっぷりで、最新のテクノロジーにアンテナをはって生活をしている人達が多いと思います。一方、教師の人達は、毎日教育のこと、生徒の成績を伸ばす方法について考えて暮らしているはずです。だったら、この両者が共同で企画してe-learningコンテンツを作れば素晴らしいものができるかと言うと、実際は難しいです。
自分が開発側なので、そちらの立場から言うと、教材の企画段階では、やはり「教材」なので、先生方の要望が主導で進みます。ただ先生方は、デジタルでどういうインタラクションが実現できるかが分かりません。
デザインやインタラクションについては、開発側からの提案で補えるのですが、もっと根本的な教材のコンセプトみたいなものに古さを感じるのです。全てが「閉じている」感じなのです。
その部分を伝えたいのですが、専門用語の説明といった問題ではなく、「最近のweb2.0に代表されるような気風(公開することのメリットとかスピード感)」が通じないというのが現状です。
そういうジレンマの中で出来上がる教材は、やはり双方の妥協の結果、ごく普通の教材になってしまいます。
橋本様ようなスペシャリストの方々の活動やブログで、時代の気風が一般にも広がり、教育業界内でも危機感みたいなものが動き出せばとワクワクしております。
引き続き、購読させていただきます。
ありがとうございました。
5. 投稿者 hashimoto@トロッコ蜜柑
: 2006年08月16日 01:04[RES]
>>4 teraさん
コメントありがとうございます。
先生方とのやり取りに関して、大変勉強になります。
想像に過ぎませんが、このあたりは年齢によりギャップがあるかもしれません。Web2.0に関しては、1975年がしきい値といわれていますので、それ以前の方であれば、特別な才能が必要かもしれません。逆に言えば、この問題は時間が解決してくれるともいえるかもしれません。
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