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人材育成を研究している橋本諭のブログです。eラーニング(e-Learning)や人材育成、インストラクショナルデザインを専門としており、教育工学、学習科学、OJT、ワークプレイスラーニングの研究しています。eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン、企業内人材育成入門を上梓。

2005年06月26日

企業内教育には若きカリスマが必要だ

[教育全般 ]

東大の中原さんは、教育業界人寄席というものを企画し、教育業界ってどんなところかを学生に伝えようとしている。
それに呼応し、産能大学の古賀さんがいくつかの提言をまとめている。(2人とも、あえて先生ではなく、さん付けさせていただいております)

古賀さんの提言は、以下の2点である。
1.教育工学系のポスドクを企業内教育への道を用意する。
2.企業ではなく、企業内教育部門にインターン制度を設ける

この2点は、企業内教育にワカモノがいないという問題意識から発生したものだ。確かに、企業内教育には、この問題が存在するようである。

企業内教育は、ほかのどのような業界よりも2007年問題が存在する。日本型経営が繁栄を謳歌している高度経済成長時に教育を受けた世代、言い換えると団塊の世代以降、ずっと企業内教育をやってきた人材はほとんど存在しないのではないかと思うことがある。これは、月に1度程度行われるsigeduソフトウェア技術者協会の教育分科会で実際の教育担当者と話していて感じる点だ。その観点からも、ワカモノが教育業界を目指すことが重要だろう。

さて、では率直に、企業内教育に興味をもち、実際に企業内教育に進む人を増やすにはどうすればいいのだろうか? 私が考えられることは2点だ。

ひとつは、教育学や教育工学を学んだ学生が、専門家として企業に就職できるように企業の採用側が対応することだ。現状のように、ジョブローテーションの一環ではなく、法務などのように専門職として募集してもらうことだ。

これは、きわめて抜本的な解決になるだろう。しかし、誰でもが簡単にできるものではない。

もう1点は、カリスマ企業内教育者が出てくることだろう。インストラクショナルデザイナーなどの専門職として活動している人が、メディアに注目されるなどするのもOKだろう。イケメンデザイナーなんて出てきても面白い。ギャル系インストラクタも面白い。加えて、一人のプロとして認識されており、独立して仕事ができるようになっていれば、大きな一歩になる。とにかく、目標にしたいような人が出てくることだ。

一人のカリスマが現れれば、それにあこがれて教育業界を目指す人が増えてくるだろう。ある程度、数が増えてくれば、いろいろなことが変化してくるのではないだろうか。

PS:まずは、自分がカリスマを目指す(笑)ということで、今年開発する教材には、
Instructional designer : Satoshi Hashimoto
というクレジットを入れたいと思う。
なお、この開発する教材は、9月の日本教育工学会で発表予定です。←何気に宣伝しておきます。

投稿者 橋本 諭 : 2005年06月26日 22:22 このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマークへ追加

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コメント

1. 投稿者 こが@さんのう : 2005年06月28日 20:27[RES]

ハシモトさん
こがです。

問題の根幹に「教育スタッフとしての専門性」に関する認識の乖離がありすぎるんだろうと思ってます。

SMEとして優れていればインストラクターになれるってもんじゃないし、ましてや戦略的な人材育成システムを構築できることとは全く別物の能力だしね。

でも、大きな会社の教育部門や教育子会社って、そんな感じの人が多いんですわ。

まあ、このあたりは長い話になりそうなので、また今度

2. 投稿者 君島浩 : 2005年07月01日 13:00[RES]

教育学部の職業教育論科目や経営学部の企業内教育論科目を担当する機会があったら、現代的に直してくれませんかね。象牙の塔の骨董品という感じがします。大学と企業の間の壁も問題ですね。大学教員は企業人に学ぼうとする態度が希薄だし、人脈も不足しています。

3. 投稿者 hashimoto@トロッコ蜜柑 [TypeKey Profile Page] : 2005年07月06日 06:19[RES]

>>1 こが@さんのうさん
>SMEとして優れていればインストラクターになれるってもんじゃないし、ましてや戦略的な人材育成システムを構築できることとは全く別物の能力だしね。

これは、かなり響く言葉ですね。次回お会いしたときを楽しみにしております。

>>2 君島浩さん
>教育学部の職業教育論科目や経営学部の企業内教育論科目を担当する機会があったら、現代的に直してくれませんかね。

いち学生だと、受ける機会はあっても直す機会は当分ありそうもありません。今やっているのは、自分たちで帰ることが許された授業を少しづつ変えていっているということぐらいです。

>大学と企業の間の壁
については、前の記事で書いた「大学教育における産業界ニーズと教育カリキュラムのマッチング度合いの分析結果」http://e-learning.toromi.com/archives/2005/06/post_83.php
の中にある
産業界側からは、大学教育が産業界の技術人材養成のニーズに応えていないとの指摘

一方、大学側としては、産業界のニーズが抽象的であり、何ら具体的な教育の方向性を示すものではない

どちらもありそうな意見だなと思っています。要するにどちらとも平行線なのではないかなと思っています。
大学側にたつのも変ですし、産業側に立つのも微妙と、自らの立場のあいまいさもあり、なかなか悩みどころです。

少なくとも、あまり自分のコントロール下でないものに期待するのはやめておこうという気持ちがあります。

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